Vol5:株価と原油の関係性についてpart2
はい、株価と原油の第2弾、やっていきましょう!
前回の記事では、コロナショックを発端としてなぜ原油価格が下落したのかについて主に記述しました。
↓前回の記事↓
2020年3月に入ってから一段と原油価格が下落しています。
この理由について今回は解説していきましょう。
1.需要と供給について
市場原理の基本の基ですが、まずは市場における価格の決まり方について見てみましょう。
出展:8つの相場サイクルがわかる「逆ウォッチ曲線」の使いかた | お金のキャンパス
★非常に分かり易くまとめられていますので、是非チェックしてみて下さい。
このグラフ、学校の社会の授業で一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
小難しい感じがしますが、すごくシンプルです。
市場にとある物品が流通していたとして…
流通量(供給)は少ないが、買いたい人(需要)は多い=高くても買う
逆に
流通量(供給)は多いが、買いたい人(需要)は少ない=価格を下げないと売れない
直近でいうと、マスク不足による高額取引などがいい例ですね。
つまり、市場に出回る量と欲しい人の数だけで物の価格は決まっているということですね。
2. 原油価格が更に急落(2020年3月~)した理由
2020年3月の一段と下落したタイミングに何が起こったのでしょうか?
それはコロナショックで世界中で経済活動が停滞し、原油の需要が減っているにも関わらず、主要原産国であるサウジアラビアが大増産に踏み切るという発表を行ったためです。
つまり圧倒的な供給過多状態となり、価格が下落したというわけです。
グラフでいうと、このへん。
3. 収入が悪化するのに大増産に踏み切る理由
出来る限り高く売りたいんじゃないの?
と疑問に思う方が多いと思います。その理由を解説します。
3-1. 原油生産量のシェア
主要産油国であるサウジアラビアがオイルマネーによる収益を悪化させてまで
大増産して原油価格を押し下げる理由を知るには、まず世界の原油生産シェアを知る必要があります。
1位は…
えっ?
アメリカ!?
これは多くの人にとって意外なのではないでしょうか!?
原油といえば中東・アラブといったイメージを私たちは強く持っていますが実は2012年に確立された”シェールオイル採掘”という手法によりアメリカの生産量が爆増し、一気にマーケットシェアを奪い去る形になりました。
★シェールオイルについて詳しく知りたい場合は下記を見てみて下さい。
アメリカが原油の生産高において、ここまでのシェアを獲得するとどのようなことが出来ると思いますか?
それは、価格の調整に占める影響度を高めることが出来たのです。
アメリカが高く売りたいと思えば供給量を減らして価格を上げやすくなりましたし
安く売りたいと思えば供給量を増やして原油価格を下げやすくなりました。
さて、こうなると2位につけるサウジアラビアやロシアは面白いでしょうか?
自国における主要な収益源であるオイルマネーの価格を第3国とされていたアメリカに操作されている状況は好意的なことではありませんよね。
3-2. シェール企業は採掘した原油が1バレル=50ドル以上で売れないと赤字になる
元々の生産国は国策で原油の採掘を行っているのに対して、米国のシェール企業では
自前で設備投資を行い、”採掘リグ”という生産設備を建設して採掘を行うビジネスなわけです。
そして、採掘した原油が1バレル当たり50ドル以上で売れないと採掘コストを賄いきれず、赤字となってしまいます。
さて、直近の原油価格を見てみましょう。
2020年3月19日現在で1バレルあたりなんと23.12ドルとなっています…。
こうなってくると、米国のシェール企業は原油を採掘すればするほど、赤字が積みあがるという苦しい状況となり、経営に支障が生じます。
ズバリ、サウジやロシアが大増産を決めたのはこのシェール企業にダメージを与えて倒産に追い込むことです。
そうすることで、原油マーケットにおける米国の影響力を弱体化させることが目的です。
4. この原油安はいつまで続く…?
ガソリンなどの原料となる原油が安くなることは一般消費者である私たちからすると好ましいことです。
この状態はいつまで続くのでしょうか?
アメリカのシェール企業にダメージを与えたいサウジアラビアやロシアなどの産油国と全力で企業の経営状況を守りに入るアメリカ政府との実質上の価格戦争状態です。
中国との貿易戦争といい、中東諸国との原油戦争といい、アメリカは血の気が絶えない国ですね…。
さて、いかがだったでしょうか!?
これでコロナショック~原油安までご理解頂けたと思います。
次回はいよいよ株価への影響について書いていきます!